すっきりフルーツ青汁を販売するメディアハーツへ不当表示等を差し止める訴訟が提起されています

2018/1/19、「すっきりフルーツ青汁(ブランド名: ファビウス)」などを販売する、「株式会社メディアハーツ(本社 東京都渋谷区渋谷、代表取締役 三崎優太)」に対して、適格消費者団体「消費者被害防止ネットワーク東海」により差止訴訟が提起され裁判で争われることになっています。

2018年1月19日、名古屋地方裁判所において、株式会社メディアハーツに対して差止訴訟を提起しました。
44.株式会社メディアハーツ(ファビウス)への申入れ - 消費者被害防止ネットワーク東海

2015年から「消費者被害防止ネットワーク東海」から「メディアハーツ」に対し、申し入れ・差止請求が何度も行われていますが、真摯に対応することなく、また最終の差止請求への回答も行わなかったため、差止訴訟の提起にまで至ったようです。

追記: ねとらぼに「すっきりフルーツ青汁の不当表示で訴訟」の取材記事が公開されています

訴状の内容

請求の趣旨は、景品表示法の有利誤認となる表示記載の禁止です。インターネットで販売する「すっきりフルーツ青汁」の「ラクトクコース」と称する契約が焦点です。

以前にこのブログに書いた「すっきりフルーツ青汁を誤認購入するトラブルにあったけど返品できた。消費生活センターへの相談した結果の記録」でも問題点などを一部紹介しています。

訴状では、順序立てて説明された法律に基づく差止請求が記載されていますが、ここでは問題の争点として、次の2点を紹介します。

初回だけを強調する有利誤認表示

ひとつは、近年トラブルが急増している「お試しで買ったつもりが定期購入契約していた」に関連する不当表示です。※ 実際には「お試し」などの言葉はサイトに使われていない場合もあります。

購入代金1万1070円(税別)とする1個の契約であるにも関わらず、初回の支払い額を630円として独立して表示し強調、また、84%OFFなどと表示し高額の割引率を強調しています。

その広告の一例です。訴状の掲載されている広告画像とは異なります。

2017/11/18 にはてなブックマークの Web ページに配信された広告を引用(実際の広告と区別するため「Sample」を重ねて表示しています)

※ 訴状では、広告をクリックした後の Web ページに関する記載についても、不当表示が指摘されていますが、割愛します(今後追記するかもしれません)。

申込確認画面においても、初回の支払い金額のみが強調されて表示されてます。また解約できないことが記載されていません。

最終確認画面(2017年12月の https://lp.myfabius.jp/s-aojiru より引用)

ちなみに、確認画面に事業者が契約内容を適切に記載していない場合に消費者は錯誤による契約の無効を主張できます

返金とは言えない「30日間返金保証」の表示

販売サイトには「30日間返金保証」と称する表示がありますが、これに関しても消費者被害が発生しており、返金制度とは言えない問題点があります。

初回代金630円の返金が受けられるように思えますが、一度全額(1万円以上)の送金を要求し諸費用をを除いた金額を返金する不合理な対応をしています。※ 必ずしもではなく、購入者により対応を変えている場合があるそうです。

また、返金を受けるための制限も数多くあります。

  • 専用用紙をダウンロードし、注文から30日以内に FAX で申し込む
  • 連絡をもらい1週間以内に指定の住所に返品する
  • 商品・商品パッケージ・明細書の3点すべてを返品しなければならない
  • 返品の送料は消費者が負担
  • 20日間は使用しなければならない
  • 一度全額入金する必要がある

消費者が支払った額は初回代金630円ですが、返金額より返品にかかる費用の方が多額になるため、返金とはいえません。

初回表示の強調と、30日間返金保証は、消費者視点からは別の性質の問題に思えますが、いずれも景品表示法に規制される有利誤認表示に該当することが、訴状では説明されています。

追記: → 2018年3月6日に確認したところ「30日間返金保証」はファビウスの Web サイトから削除されています。

適格消費者団体による差止請求

さて、適格消費者団体による申し入れ・差止請求ですが、これまでの事例では、裁判に至る前に解決することも少なくありません。大手企業などは比較的 真摯に対応されることも多いとのことです。

SMAP のファンクラブの会員特典が一方的に変更されたことで、2017年 最も話題になった「ジャニーズ公式ファンクラブ会員規約」に対する申し入れは、返金対応に至り、指摘されていない事項も含め、会員規約の見直しがなされています。

一方、悪徳商法や詐欺商法など悪質な事業は比較的 中小的な企業であることが多く、差止請求に対して行動を起こさないことも珍しくないようです(もちろん真摯に対応する事業者もあります)。また、和解した場合も履行していないなど悪質なケースもあるので、消費者として差止請求の終了後も注意が必要です。

適格消費者団体による訴訟が、敗訴している事例もあります。NTT ドコモ・au・ソフトバンクのいわゆる「2年縛り」や高額な解約金に関する差止請求は、いずれも敗訴しています。ただし、総務省や公正取引委員会が「2年縛り」の改善を求める働きかけのきっかけとなっています。

消費者の被害回復

適格消費者団体による事業者へ不当な行為に対して差し止めを求めることは、将来の消費者被害防止にしかなりません。

しかし「特定適格消費者団体」による不当な事業者に対して消費者被害の集団的な回復を求めることができる「消費者団体訴訟制度」が、2016年10月から施行されています。

2016年10月以降、被害にあわれた方は「特定適格消費者団体」に情報提供も考えてみてください。

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