「すっきりフルーツ青汁」の通販で「初回630円」などの表示を定期購入契約と気付かず、2017年10月に親が購入してしまいました。調べたところ次のような広告が配信されています。
消費生活センターに相談したところ、返品・キャンセルできたので、実例を記します。類似事例の参考になれば幸いです。日々、事業者も販売内容などを変えているため、同じように解決しない場合もあるかと思います。十分注意してください。
お試しで買ったつもりが定期購入契約
今回のトラブルは、2015年頃から急増しているという「お試しで買ったつもりが定期購入契約していた」というものです。実際には「お試し」などの言葉はサイトに使われていない場合もあります。
- 相談急増!「お試し」のつもりが定期購入に!?-低価格等をうたう広告をうのみにせず、契約の内容をきちんと確認しましょう-(発表情報)_国民生活センター
- 「お試し」のつもりが「定期購入」に!?第2弾-健康食品等のネット通販では、契約内容や解約条件をしっかり確認しましょう-(発表情報)_国民生活センター
サプリメントや化粧品などでもよくあるようです。さらには、こういった商品では、健康被害のトラブルも増えています。十分注意してください。
すっきりフルーツ青汁と差止請求
今回 購入したのは FABIUS(ファビウス)「すっきりフルーツ青汁」(株式会社メディアハーツ・東京都渋谷区渋谷2-12-4・代表取締役 三崎優太)です。「めっちゃぜいたくフルーツ青汁」clavis(クラヴィス)(株式会社pacrel)など類似の商品も存在しています。
メディアハーツは、適格消費者団体「消費者被害防止ネットワーク東海」から景品表示法・特定商取引法・消費者契約法上に係る申し入れや差止請求が計7回行われており、2017年12月現在も継続中であり、訴訟の準備が行われています。
事業者側は、誤認等に対する言い分もあるようですが、2017年もメディアハーツとのトラブルが全国の消費生活センターや消費者被害防止ネットワーク東海に所属する相談員に多く寄せられていると、消費者被害防止ネットワーク東海から電話で回答を得ています。また現在も景品表示法・特定商取引法に係る争点があります。
※ 消費者被害防止ネットワーク東海は、東海地方を担当している 適格消費者団体 ですが、インターネット上のサービスなど全国に関わる事案は、はじめて申し入れ等を行った団体が代表して対処しているとのこと。
追記: 2018/1/19 差止訴訟され裁判へ発展しています(すっきりフルーツ青汁を販売するメディアハーツへ不当表示等を差し止める訴訟が提起されています)。
差止請求の要旨
差止請求されてからこれまでに修正された表示もありますが、2017年11月28日の請求の要旨は次の通りです。それ以前の問題点は、過去の申し入れ・差止請求を確認するとわかります(このページ下部に概要を記載しています)。
- 1回だけの契約による支払いであるかのような次の表示
- 初回の支払金額を強調する表示
- 申し込み画面において、初回の支払金額のみを記載した表示
- 30日間返金保証の表示
- 解約が許されない期間における商品代金の支払いにつき、当該機関の初回支払い金額を1回あたり平均支払金額より低額とする場合における次の表示
- 初回の支払金額を2回目以降の支払金額よりも強調した表示
- 初回の支払金額と1個ずつ購入する場合の代金とを比較する表示
- 返金保証の表示
初回支払金額の強調
請求の要旨にあるひとつは、4回の定期購入を必須とする契約にも関わらず「初回84%オフ630円」のように大きくアピールしている点です。実際には、4回購入する必要があるため1万円以上の買いものとなります。
今回は、この定期購入である旨の表示がわかりにくく、誤って買ってしまったケースでした。
事業者の主張としては次の2点などがあるようです。
- 定期購入契約であることを注文フォームの近くに大きく表示している
- 利用規約に同意するチェックボックスにチェックする必要がある
しかし、それらも申し入れ・差止請求以降に修正された箇所であり、2017年1月以前はより多くのトラブルが発生していました。※ 利用規約に同意にあらかじめチェックが入っている、退会した場合も定期購入の解約にならないなど。過去の申し入れ・差止請求概要をこのページ下部に記載しています。
さらに、2017年11月時点では、1万円以上の支払が発生する最終確認画面は次の画面でした。
注文時のメールや支払い請求の払込票にも総額表示はなく、商品が2回届いて初めて定期購入であることに気付きます。
いわゆる健康食品の定期購入に係る紛争をあっせん解決|東京都 の事例によると、確認画面に事業者が契約内容を適切に記載していない場合に消費者は錯誤による契約の無効を主張できます。
次の画面は、2017年12月現在の確認画面です。2017年12月1日から特定商取引法改正が施行され確認画面のガイドラインが定められています。ただし備考や注意書きとして総額表記はガイドラインに沿っていません。
類似の事例は 「お試し」のつもりが「定期購入」に!?第2弾-健康食品等のネット通販では、契約内容や解約条件をしっかり確認しましょう-(発表情報)_国民生活センター も参考になります(PDF に詳細があります)。
消費者ホットラインで相談
今回の場合、ファビウスのサポートへ電話はつながりましたが「返品・定期購入の解約はできず、2ヶ月後に改めて解約の電話するように」との返答でした。
そこで、消費者庁や国民生活センターで案内されている「消費者ホットライン」(188番)に電話しました。電話すると近くの消費生活相談窓口につながります。
担当者にトラブルの内容を相談します。
国民生活センターのサイトなどを見ると、トラブルになった場合、消費生活センターに相談をすすめていますが、何をしてくれるか・解決した件数などは掲載されていません。
今回の場合、担当者の方へ詳細を伝え、メールで下記の情報を渡し、業者への電話対応などをしていただきました。
- 購入時(注文時)のメール内容
- 1回目の支払いの領収書(払込取扱票の払込受領書)
- 2回目に届いた明細書
- 2回目に届いた払込取扱票
※ 2回目に届いた商品は未開封です。絶対に開封しないようにしましょう。
そのあと、2~3回程度の電話でのやりとりがありました。
最終的に、消費者センター担当者から商品を販売したメディアハーツへ返品の旨を申し入れなどをしていただき、総額表示がなかった点などを指定するとメディアハーツが返品を受け入れたとのこと。代金回収のネットプロテクションズとの対応も担当者の方にしていただきました。
指定された住所へ2回目に届いた商品を返品して今回の件は完了しました(元払い・追跡可能な輸送方法で返品です)。2回目の商品が届いた日に相談して、8日後でした。
もし今回の件で、代金回収業者から督促が来ても引き続き相談・対応いただけるとのこと。
※ 初回の代金はこちらも納得しているので支払っています。
相談先・通報先
最後にトラブルや被害にあった場合の通報・相談先です。
その他の通報先(情報の提供先)です。※ 相談先ではありません。
被害にあわないよう十分に注意してください。
参考: 過去のメディアハーツへの 申し入れ・差止請求の概要
※ 44.株式会社メディアハーツ(ファビウス)への申入れ - 消費者被害防止ネットワーク東海 より抜粋
2015/7/22 申し入れの趣旨
- 所定の退会手続きを規約で明らかにするよう見直すこと
- 退会と同時に定期購入休止の手続きの効果が生じる規約となるよう見直すこと
- 約款の消費者に生じた損害を賠償する責任を免除する条項などを、消費者に不利益にならないよう既約を見直すこと(消費者契約法違反)
- 管轄裁判所に関する規定を削除すること
- 未成年の保護の趣旨に沿う規定に変更すること
- ホームページの記載を変更すること
- モニターの名称
- 美容モニターコースの説明
- 各購入コースの説明
- 30日間全額返金保証
- モニター募集要項
2016/1/22 差止請求の要旨
- 表示記載の停止を請求
- 青汁購入申し込みコースの説明について「モニター」の表示
- 1か月分30包が630円の表示
- 下記趣旨の条項を含む契約を締結する意思表示を行わないこと、同内容が記載された書面、電子データを破棄すること
- 紛争について本店所在地を管轄する地方裁判所の専属的合意管轄とする旨の規定
- 定期コースについて、休止・解約の連絡を電話で連絡に限定する旨の規定
- 未成年者の購入について、親権者等の承諾を得ているものとみなす旨の規定
2016/4/29 の申し入れの趣旨
- 「未成年者の場合、親権者の同意を得ております」「ご利用規約に同意して申し込みます」にあらかじめチェックが入っているため、チェックボックスのチェックをはずし、注文者が自らチェックを入れる方法に変更すること
2016/7/26 の再申し入れの理由
- ホームページの記載
- 貴社のホームページのラクトクコース募集要項には、最低4回(4か月)以上の継続を約束してある旨の記載があります。しかし、その文字の大きさは630円の値段にくらべ非常に小さいものです。
- 有利誤認表示
- ホームページ全体としてみると、「1か月分30包が630円」の大きなフォントに比べ、「4か月の継続購入」のフォントが小さいため、消費者は4か月分の購入が予定されているにもかかわらず、1か月分のみ購入すればよい、代金が安いものであると考えることになります。したがって、販売代金を実際のものよりも「著しく有利であると一般消費者に誤認される表示」であって、「不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」に該当し、景品表示法5条1項2号に反します。
- 不利益事実の不告知
- ホームページには、「4か月の継続購入」について記載はあります。しかし、「1か月分30包が630円」の大きなフォントに比べ非常に小さいため、消費者は4か月分の購入が予定されている記載を見落とし、1か月分のみ購入すればよいと誤認する可能性があります。また、4か月の継続購入が義務であることは、対価その他の取引条件(消費者契約法4条4項2号)に該当しますので、消費者契約法の4条2項にいう重要事項に該当します。従って、このように消費者に有利な事実の表示の大きさに比して、消費者に不利な事実の表示の大きさが著しく小さい場合は、実質的に消費者に対して故意に不利益な事実を告げなかったと評価されるべきものであり、消費者契約法4条2項に反すると考えられます。
2016/11/28・2016/12/21 の差止請求の要旨
- 消費者に販売する商品の取引に関し、1か月目の支払いとなる金額が解約の許されない期間の代金総額の月平均に比して著しく低い金額の表示をすること
- 消費者に販売する商品の取引に関し、1か月目だけ高い割引率を表示することに合理的な理由がないにもかかわらず、1か月目だけ著しく高い割引率が適用される旨の表示をすること
- 消費者に販売する商品の取引に関し、解約が許されない期間において、各月の支払額及び割引率に関し、合理的な理由なく、その一部または全部において異なる代金または割引率を表示すること
参考: 代表取締役 三崎優太氏の発言
公平を期すため三崎優太氏の事業に対する主張も記載します。
インタビュー記事(PR 記事)
「コンプライアンス(法令遵守)」には最も力を入れているんです。より健全な企業になれるように努めている
メイドインジャパンの商品力で、「世界」を舞台に飛躍する。日本経済を盛り上げる、クールな経営者でありたい|メディアハーツ | 株式会社LIG より
※ すっきりフルーツ青汁について悪徳商法と書いた投稿(削除済み)に寄せられたコメント
ブログの投稿を拝見しました。
この度は弊社の商品を使って頂き、有難います。
ブログの表現について誤解があるようなので、私の方からご説明させてください。
まず、「お試しで買ったつもりが定期購入契約」という 内容についてですが、ご指摘の通り、他社様では「モニター」等、誤解を招くような表現等を使用している会社さんがあるようですが、弊社の商品は「モニター」、「お試し」という誤解をあたえるような表記を一切していません。一度ご確認頂ければと思います。
続いて、消費者被害防止ネットワーク東海からの申し入れについてですが、弊社顧問弁護士の指導の元、表記の見直しを行っていまして、「よりわかりやすい表記」というのを徹底しています。消費者被害防止ネットワーク東海には、正式な書面として報告を差し上げている次第です。
より消費者にとってわかりやすい表示を行うために、2017年1月頃より、申し込みボタンを押した際に「定期合計金額の総額表示」、「定期購入という仕組みのイラスト」が表示されるページに必ず遷移するようにしております。
また、購入の際に「ご購入前の注意事項(初回を除き3ヶ月以上のご継続が条件)についてしっかりと確認し、ご利用規約に同意して申込みます。」というチェックボックスにチェックを入れないと購入が出来ないようにもさせて頂いております。
当然、定期コースを希望されないお客様もいらっしゃいますので、そういったお客様のために単品や2箱セット、3箱セット、5箱セットのコースもご用意させて頂いております。
すっきりフルーツ青汁の商品HPを一度確認頂ければ幸いです。
弊社は通販事業に参入後に急成長したこともあり、注文の電話に対してコールセンターの数が追いついていない時期等が以前はありましたが、そういった反省を活かしてコンプライアンスを遵守するということを徹底しています。
未だに「分かりにくい定期販売」の表示を行っている会社も多くありますが、業界を健全化していくという意味でも日々努力させて頂いている次第です。
jz5様の記事は弊社のお客様に誤解を与えてしまう可能性がありますので、削除をお願いできませんでしょうか。
よろしくお願いします。
https://twitter.com/misakism13/status/931708060111749121
この後「弁護士とも協議して法的措置も検討しております」と、 ネクセル総合法律事務所 成川弘樹 弁護士を CC に入れたメールも届いています。
以下補足です。
「モニター」、「お試し」という誤解をあたえるような表記を一切していません。
→ 2016年2月まではモニターと称し販売していた(2016/1/22 差止請求内容)。
2017年1月頃より、申し込みボタンを押した際に「定期合計金額の総額表示」、「定期購入という仕組みのイラスト」が表示されるページに必ず遷移するようにしております。
→ 言い換えると2016年まではそうなっておらず販売を続けていた。また、2017年12月8日現在 注文ボタンをクリックすると「定期購入という仕組みのイラスト」に遷移しないように変更されているのを確認した。
「ご購入前の注意事項(初回を除き3ヶ月以上のご継続が条件)についてしっかりと確認し、ご利用規約に同意して申込みます。」というチェックボックスにチェックを入れないと購入が出来ない
→ 2016年まではあらかじめチェックが入っている状態で販売していた(2016/4/29 の申し入れ内容)
一般的な話として、申し入れ・差止請求は既に発生した被害の救済にはなりません。被害にあわないよう十分に注意してください。
参考: 同じ手法で販売されている商品
メディアハーツは、下記の健康食品・化粧品等もまったく同じ手法で販売しています。
- すっきりやさしい乳酸菌
- ノーメイクWアイズ(ノーメイクダブルアイズ)
- NANO CLEAR(ナノクリア)
- エクラバリア
- すっきりレッドスムージー
- 青の花茶
- めぐりの葉酸
- EclatCharme(エクラシャルム)
- もっとすっきり生酵素
※ この投稿は、以前公開していた投稿(削除済み)の修正です。「悪徳商法」に関しては記載を改めました。